平和な日常を踏みにじる、悪の手先。 日曜カメラマン最大の敵。 そう、それは、妖怪手ブレ魔神である!!! 折角シャッターチャンスをとらえたと思ったのに、思いっきりブレてたりすると凹みますよね。 かく言う私も、日々手ブレ魔神の手先と死闘を繰り返している次第でございまする。 我々人類はこのまま魔神軍団の軍門に下ってしまうのか!? …いや!我々は理不尽な侵略に対して指をくわえて滅亡の時を待つほど弱い存在ではない!!我らが地球防衛軍は、新兵器を開発していたのだ!!! それこそが、期待の救世主、光学手ブレ防止機構なのだ!!!!! …とまぁ\(^_\)ソレハ(/_^)/コッチニオイトイテ 気軽に綺麗な写真が撮れると言うことで、手ブレ防止機構内蔵のデジカメが売れているようです。 最近では、高級志向のコンパクトデジカメには必ずと言っていい程対応しており、中級クラスのモデルに内蔵されることも少なくありません。携帯電話内蔵用カメラモジュールへの搭載も囁かれているようですね。 実際、一眼レフ用レンズの世界でも手ブレ防止機構内蔵のレンズは存在します。 これを購入出来れば、日曜カメラマンのお父さんも安心な訳です。 とはいえ、手ブレ防止機構内蔵レンズという物は、もう笑っちゃうぐらいに高価なのです。kissD本体の価格なんか軽く超えてしまうほどに、ね。 素人がなかなか買えるもんじゃありやせんがなダンナ…
ところで。 何故手ブレは発生するのでしょうか? そもそも手ブレとは、「シャッターが開いている間にカメラが動いてしまうことで、被写体の像が不明瞭になること」と言えます。 これを逆利用しているのが、例えば夜空を撮影する時にシャッターを開放してしまい、星の動きを線状に撮す写真ですね。 この現象に対して、カメラが動いた際にレンズが自動的に位置を変えることでCCD上の像が動かないようにしてくれるのが手ブレ補正機構の基本のようです。 でも、よ〜く考えてみて下さい? シャッターが開いている間にカメラが動いてしまうのが原因。と言うことは、シャッタースピードが十分に速ければ、手ブレを防げるのではないでしょうか? この考え方は基本的に間違っていないと思います。 実際にシャッタースピードが上がると手ブレ軽減効果が認められますし。 それでは、カメラの設定を変更し、マニュアルモードでシャッタースピードを固定してしまえばよいのでしょうか? いやいやちょっと待って下さい。それだけでは不十分なのです。 元々、オートモードでのシャッタースピードという物は、カメラの感度(ISO値。フィルムでも使われる言葉ですね)や光量、そして後述するF値等から、自動的に算出される物なのです。 このスピードを超える速度でシャッターを切ると言うことは、本来必要なシャッター時間が得られないと言うことなので、写真が暗くなってしまいます。 論より証拠。実際に撮してみましょう。 次の作例は、前回「その1:中古レンズどうでしょう?」での室内撮影時とほぼ同じ位置で撮影しています。利用したレンズはレンズキット付属の「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」です。 違いは、夜だと言うこと。前回のように燦々と降り注ぐ太陽光はありません。 ※なお、以下の作例でコメント欄が水色の物については、リンク先の画像は無加工(ファイル名のみ変更)になります。 前回の反省を生かそうと、smallモードで撮りましたが、今度は小さすぎるような…(汗 でもこのぐらいじゃないとすぐに一杯になっちゃうんですorz 【EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM】 1536x1024 / 1/5秒 / F5.6 / ISO400 / 55mm / ストロボ発光禁止モード 【EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM】 1536x1024 / 1/60秒 / F5.6 / ISO800 / 55mm / シャッター優先AEモード まずは左の写真。 こちらは、ストロボ発行禁止モードによるオート撮影ですが、シャッタースピードは何と1/5秒、つまり0.2秒です。 今回は壁に寄り掛かりながらの撮影だったので、恐らく現像してしまえば殆ど解らないレベルですが、1/5秒というのはかなり遅い部類です。 (ちなみに、一般的には1/30を切ると相当きついと言われます。) それでは…と、シャッター優先AEモードで、シャッタースピードを1/60秒固定にしたのが右の写真。 もっさ暗いです。ISOは800、決して小さな値ではありません。 (カメラで使うISO値は大きいほど感度が高いことを示し、少ない光量でも写真を撮れるのです) ここで、先ほど出てきた「F値」が重要になってきます。 「F値」とは、絞り値とも呼ばれ、レンズの絞りのことを言います。 まぁ細かいことはさておき、「レンズの明るさを示す数値だ」と理解して貰えればOKです。 この数値が小さいほど、明るいレンズ、つまり入ってくる光量が多いレンズと言うことになります。 レンズやデジカメのカタログ値にもF値は載っていますが、これは「設定可能な最も小さなF値」を載せている場合が殆どです。 また、望遠レンズの場合、ワイド端とテレ端の最小F値を「F3.5-5.6」のような形で記載します。 今回の撮影でのF値はF5.6。 「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」は、その名の通り、18mmではF3.5、55mmではF5.6が最小値になりますので、出せる限界と言うことになります。
右が今回利用した「EF 50mm F1.8 II」。コンパクトで持ち運びにも便利。 左はレンズキット付属の「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」。 上記のような暗い写真を何とかする案として、F値を小さくできればよい訳です。 その為に今回はレンズを変えてみましょう。 利用したのはキヤノンの低価格単焦点レンズ、「EF 50mm F1.8 II」です。 このレンズはF1.8と非常に明るいレンズであるにも関わらず、実売価格が約1万円という、とってもリーズナブルなレンズなのです。 但し、単焦点レンズであり、ズームレンズではありませんのでご注意を。 使い方にもよりますが、日曜カメラマンのお父さんがこれ一つで十分かと言われると、ちょっと辛いかもしれません。 ま、それはさておき、早速撮影してみましょう。 【EF 50mm F1.8 II】 1536x1024 / 1/50秒 / F1.8 / ISO250 / 50mm / ストロボ発光禁止モード 【EF 50mm F1.8 II】 1536x1024 / 1/60秒 / F2.8 / ISO800 / 50mm / シャッター優先AEモード 左の写真は、ストロボ発光禁止モードによる撮影です。F値はF1.8で最小値になっています。 注目のシャッタースピードは1/50。まぁ頑張れば何とかなる値ですね。 ちなみにISOは250に設定されていました。ISOは基本的には小さい方が綺麗な写真が撮れる筈なのでカメラ側がISOを小さくすることを優先したようですね。 右が、先ほどは真っ暗になってしまった、シャッター優先AEモードでシャッタースピードを1/60秒固定という設定。思いっきり鮮明です。 F値はF2.8。最小値であるF1.8になっていないのは、カメラ側がF2.8で十分な光量を得られると判断した為でしょう。 参考までに、マニュアル撮影で、シャッタースピードとISO値を固定した状態で撮影してみたのが下の作例です。 参考までに、前回登場した中古レンズ「EF 28-80mm F3.5-5.6 II USM」も使ってみました。 【EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM】 1536x1024 / 1/80秒 / F5.6 / ISO800 / 47mm / マニュアルモード 【EF 28-80mm F3.5-5.6 II USM】 1536x1024 / 1/80秒 / F5.0 / ISO800 / 56mm / マニュアルモード 【EF 50mm F1.8 II】 1536x1024 / 1/80秒 / F1.8 / ISO800 / 50mm / マニュアルモード 焦点距離を統一出来なかったので完全比較とは言えませんが、ズームレンズがF5.0やF5.6で真っ黒になってしまったのに対し、「EF 50mm F1.8 II」はしっかりとPowerShot G5のお姿を確認出来ます。
さて、以上のように、手ブレ防止の手段として有効なF値ですが、実はもう一つ重要な役割があります。 それが、「前ボケ後ボケを制御する」というものです。 まずは以下の写真をご覧下さい。どちらも「EF 50mm F1.8 II」による撮影です。 【EF 50mm F1.8 II】 1536x1024 / 1/25秒 / F5.0 / ISO800 / 50mm / 絞り優先AEモード 【EF 50mm F1.8 II】 1536x1024 / 1/200秒 / F1.8 / ISO800 / 50mm / 絞り優先AEモード 左がF5.0。右がF1.8です。 鉄道模型のレールを撮影しているのですが、よく見ると映り方が異なっています。 F値の小さい右側の写真の方が、ピントの合っている範囲が狭いように感じませんか? これは別に手ブレの影響ではなく(いやブレてますけどね(汗))、F値が小さいと、このように撮れるのです。 この効果を上手く利用すると、プロのカメラマンさんが撮影したポートレートのように、背景が綺麗にボケている写真を撮ることが出来ます。 うちのサイトでは、にいなまい さん特集コーナーの「2004/08/13 コミックマーケット66」にある写真がこの効果が出ている写真ですね。 ただ、晴天時のF1.8というのは相当に明るいです。実際、上記コミケの写真撮影時も平気でシャッタースピードが1/4000とかいう数値になり、調整をかけました。 この辺はなかなかに難しく、私も知人のアドバイス受けながらだったのですが、上手く設定出来ると綺麗な写真が撮れるので、面白いのもまた事実です。 価格も手ごろなので、「EF 50mm F1.8 II」を購入してみていろいろいじってみるのも宜しいかと思いますよ。
F値とISOを最大限に活用して撮影した写真。 ※この作例だけ最大解像度設定で撮っちゃいました(汗) 3.5MBあるので注意です。 【EF 50mm F1.8 II】 3072x2048 / 0.3秒 / F1.8 / ISO1600 / 50mm / 絞り優先AE これ、撮影時刻は20:00前後なんです。つまり、夜空を撮影しています。 まぁDIGICが色々やってくれてはいるのでしょうが、夜空の雲がこうもはっきり見えるのはなかなか興味深いですね。 ちなみに肉眼ではこんなにはっきり見えませんでした(笑) 但し、流石にオートフォーカスでは撮影出来ず、マニュアルフォーカスで強引に撮りました(汗) 以前、夜中の秋葉原で遊び撮りした時はしっかりAF可能だったので、夜景なんかを撮影する時は良さそうですね。