【注意】
本ページでは、コニカミノルタの「CENTURIA SUPER」というネガフィルムを利用して増感現像を試していますが、本ページ公開後にある方から
『むしろ増感ならリバーサルで試した方がよいのでは?』
『ネガフィルムの場合は元々ラチチュードが広く、増感現像しなくても露出調整が可能なのでは?』
とのご意見を頂きました。
(実際にはもっと色々教えて頂きました)
このご意見を踏まえ、本ページは追記予定ですが、閲覧者の方におかれましてはそのような点を御理解の上でご覧下さい。
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・「ISO感度」と手ブレの関係
唐突ですが、皆さんは写真を撮る時に手ブレなどで失敗しないよう気を付けていることはなんでしょうか?
しっかりホールドすることでしょうか?
必要に応じてフラッシュを使うことでしょうか?
第2回目で扱ったように、明るいレンズを使うという手もあるかも知れません。
もう一つのアプローチとして、「撮影感度を上げる」という手があります。
これは、ISO感度を高く設定することで、シャッター速度を上げる方法ですね。
そもそもシャッタースピードはISO値を2倍にすると半分になると言う効果があるので、手っ取り早くシャッター速度を稼ぐには適した方法と言えます。
使い捨てカメラなんかでも、夜間撮影に強いとされるものはISO感度が高いフィルムが使われていることが多いですね。
銀塩であれば、高感度のフィルムを使う。
デジカメであれば、ISO設定値を数字の大きいものにする。
これだけで、結構手ブレは防げますし、実際最近ではコンパクトデジカメで「手ぶれ補正モード」としてISO 1600が搭載されている機種も出てきました。
・銀塩の弱点は現像サービスで補う
さて、ここで一つのポイントがあります。
デジカメでは、いつでも簡単にその機種の最高感度まで上げられるのですが、銀塩ではフィルム毎にISO値があるので、高感度撮影をしたいと思ったらあらかじめ高感度フィルムを用意しておく必要があるという点です。
つまり、銀塩カメラの場合はあらかじめ感度の異なるフィルムを複数用意しておくことが大事になるのですが、例えば旅先でフィルムが足りなくなって購入しようと思った場合など、選択の余地がない場合があります。
しかし、銀塩フィルムには便利な現像サービスがあります。それは、「増感現像」と呼ばれるものです。
「増感現像」とは、その名の通り、フィルム本来の感度よりも高い感度として現像してくれるサービスです。
これを使えば、感度の低いフィルムしかなくても、高感度撮影が可能となります。
但し、このサービスを受けるには、出来れば満たしておきたい条件があります。
それは「ISO値(シャッター速度)をマニュアルで指定できるか」という点です。
例えば。
最近(と言ってもここ十年ぐらいはずっとだと思いますが)のコンパクトカメラは、フィルムを入れてシャッターを押せば気楽に撮影できますが、これはフィルムそのものに記録されているISO値をカメラが読みとり、撮影時の光量を観測して、適切なシャッター速度を計算しているからに他なりません。
つまり、ISO200のフィルムでそのまま撮影したものをISO400相当に増感印刷してしまうと、カメラはあくまでISO200時のシャッタースピードを使ってしまうので、長時間シャッターとなってしまう恐れがあります。
これを回避できるのは、カメラ本体にISO値を手動で教えられる一眼レフカメラのような機種や、シャッター速度を自分で設定するマニュアルカメラのような機種になります。
勿論、普通のコンパクトカメラなんかでも増感サービスを受けることは出来ますが、結局シャッタースピードを上げられないので、今回の話題とは離れてしまいますね。
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今回、増感現像に利用したコニカミノルタのフィルム。
ISO値は200
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EOS kissのISO設定画面。
ここでISO設定を変えられる。
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とはいえ、増感とは「本来の性能を上回る感度で強引に現像する」サービス、と考えることも出来ます。
実際、どのぐらいの仕上がりになるのでしょうか?
そこで今回は、実際に増感印刷を利用し、第10回目で利用したCD-Rサービスを併用してPCに取り込んでみました。
撮影に利用したフィルムは、コニカミノルタの「CENTURIA SUPER」という商品。ISO値は200。
某家電量販店で、1つ\100-で販売していた、お手頃フィルムです。
これを、EOS kissに装着、kiss側でISO 400設定に変更し、ISO 400への増感現像を行いました。
※なお、以下の作例でコメント欄が水色の物については、リンク先の画像は無加工(ファイル名のみ変更)になります。
【作例1:日中(屋外)の撮影】
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400
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まずは、昼間の撮影です。
ぱっと見ると、増感とは分からないと思います。それだけ、差が少ないと言うことですね。
拡大画像を見た時の小さなつぶつぶについては、第10回目の時もあったので、増感の影響ではないと思います。
電車撮影写真で、空の青さが完全に飛んでいるのがちょっと気になります。
とはいえ、こういうのは普通に撮影した時も発生する現象なので(結局、何が悪いんでしょうか…?今の私では理解できていません(汗))、増感のせい、とも言い切れないと思います。
【作例2:夜間撮影】
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400 / 内蔵フラッシュ使用
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400
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次は夜間撮影です。
元々、増感現像のメリットは「暗い場所でもシャッター速度が稼げる」という点ですから、この作例がメインステージという考え方も出来ます。
さて、実際の画質ですが、さほど悪くはないと思います。
CD-Rサービスによる粒子化の関係でちょっと分かりにくいのですが、実際にできあがった写真を見ると結構綺麗です。
色合いが若干おかしいような気もしないでもないですが、これは恐らく光源の問題でしょう。実際、フラッシュを使った場合には綺麗な色になっていますし。
【作例3:室内撮影】
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400 / 内蔵フラッシュ使用
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1544x1024 / ISO200 / 増感ISO400 / 内蔵フラッシュ使用
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最後は室内撮影です。
手違いで、フラッシュONの写真しかありませんが、綺麗に撮れているのではないでしょうか。
今回、全ての写真の撮影は手持ちで行っていますが、殆ど手ブレがありません。増感の効果ではないでしょうか。
・問題はサービス価格
写真の画質というものは、見る人の好みもありますし、どこまでを求めるのかにもよると思うので一概には評価しにくいのですが、今回の撮影については概ね問題ないレベルなのではないかと思われます。
確かにコンパクトカメラでISOを手動設定できるのは珍しいのですが、ここ数年のデジカメブームから考えるに、今も銀塩を使うような人なら一眼率は少なくないと思いますし。
むしろ問題なのは、増感現像の価格です。
今回利用したサービスは、+\1,500-かかりました。通常の現像代から比べると、べらぼうに高額です。
ISO 200からISO 400への増感でしたが、はっきり言ってISO 400のフィルムなんて数百円で買えますからね。それを考えるとちょっぴり凹みます。
ただ、EOS kissの場合、ISO値は6400まで指定できます。
例えば、ISO 800のフィルムでISO 1600撮影とか、ISO 1600のフィルムでISO 3200撮影とか、高々感度撮影(?)を行う場合には有益ではないかと思います。
…そもそも、ISO 3200のフィルムなんて、滅多に見かけませんからね…
ちなみに。
販売店の人曰く、二段以上の増感は画質が一気に悪くなるのでお勧めしない、とのことでした。
つまり、ISO 400のフィルムで、ISO 1600への増感は避けた方が良い、と言うことですね。このポイントさえ守れば、緊急用としては使い道があるのではないかと思います。
<2005.08.17 ななぼん>
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